鮮麗されたロジャーの誕生
録音は、Neumann U 87、SSL 4000、レコーダーにはStuderを使用しました。トラックには、ギャムソンが所有するMinimoog、Studio Electronics SE-1、Oberheime Expanderなどアナログ機材が多かったですね。ドラムはAkai MPC60で、シーケンサーはMacintoshにMOTU Performerがインストールされていました。ピアノにはKorgのM1。その他にWavestationなど当時のダンス・ミュージックの機材群でしたね。あと特別なのがARPのString Ensemble。所々でその独特なサウンドが聴けると思います。
ギャムソンのスタジオとレコード・プラント・スタジオはそんなに離れていなかったんですよ。だから、ロジャーが自分でトラックを録音するって言ってギャムソンのスタジオへ行き、その録音したトラックをレコード・プラント・スタジオに持ってきてマスターへコピーしての繰り返しでした。僕はミックスで呼ばれたのですが、トークボックスの録音も何度か手伝いました。でもね、ロジャーって演奏、録音、ミックスまで全部自分でやると言うか、やろうとするんですよ。だから、録音のセットアップだけしてあげました。

トークボックスのトラックは生声の方が大きく収録されているケースもありましたが、基本的にはSSL 4000のコンプレッサー、ゲート、EQで処理を施しました。もちろんローはカットしてね。その後、今でも愛用しているデジタル・ディレイ/ハーモナイザーのAMS DMX 15-80S、デジタル・ディレイのLexicon PCM-42、ダイナミック・デジタル・ディレイのTC Electronic TC 2290、ディメンションのRoland SDD320などで仕上げています。僕がミックスした曲で、リバーブでもなくディレイでもない、でも何となくステレオっぽいと感じる場合にはすべてこれらの機材ですね。セッティングも当時のままかも知れないです(笑)
More Bounce to the Ounceの進化
ファンク・チューンのYou Should Be Mineは、More Bounce to the Ounceの現代版を狙って作った曲なんです。クラビもギターも全部ロジャーが演奏して、トークボックスの特徴的なフェーザー処理にはMu-TronのBi-Phaseを使いましたね。ギャムソンは元々ロジャーの大ファンで、More Bounce to the OunceのマルチからハイハットとクラップのトラックをAkaiのサンプラーでサンプリングして、You Should Be Mineにミックスして使いました。当時は、この様に一部を抜き出して別の曲で使うことが当たり前の様に多かったですね。
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