トークボックスとの出会い
10代はじめの時にジェフベックを見たりレコードを聴いててトーキングモジュレータを知ったんです。その時なぜかトーキングモジュレータの仕組みがすぐ分かったんです、スピーカーが入っているんだなって。なんで分かったかと言うと、小さい頃にイヤフォンでラジオを聴いていて偶然イヤフォンを口の近くへ持っていたらワウワウの様な音になってそう言うことかなと..。10代半ばの時に、15Wのギターアンプにイヤフォンを接続してギターを弾いたら一瞬で溶けて口の中を火傷しましたね。笑
8歳からクラシックピアノを初めて10代半ばでギターを買ってブルースバンドを組んでました。そのころスタイリスティックスが流行っててカッティングギターにのめり込みましたね。ZAPPは20歳位にファースト・アルバムをリアルタイムに聴いたんです。
以前からトーキングモジュレータを知っていたので、ロジャーの音を聴いた瞬間にトーキングモジュレータだと分かったんです。ギターでトーキングモジュレータを使う時は、言葉を発音するんじゃなくてワウサウンドを得るためなんだけど、なんでロジャーは言葉に聴こえるんだろうって疑問には思いましたけどね。もちろん、ハービー・ハンコックやウェザー・リポートも聴いていたので、ボコーダーではないことも音を聴いて分かっていたんです。

その当時はトーキングモジュレータは高く感じて買わなかったんですけど、その後久保田利伸さんと仕事をする様になって、ツアーで新宿厚生年金でライブをやった時に、近くのミュージックランドKeyでMaxonのVOC TM-505を売っていたので早速入手したんです。それが切っ掛けでライブやレコーディングのキーボード・ソロでトーキングモジュレータを使う様になったと言うか、披露できる場所ができたと言うかね。
ステージでトーキングモジュレータをプレイしていると、よくライブ後にファンの人から柿崎さんだけ何で太いので飲んでるんですかって聞かれてね。笑 相当太いストローでステージドリンクを常に飲んでいる様に思われてた様で..。爆笑
サウンド・メイキングの秘密
トークボックスの音色が単純なノコギリ波や矩形波だと言うことは割とすぐに気が付いたんです。ミニムーグはそんなに複雑な音が作れるわけじゃないし、曲によってはオシレーターをオクターブで2基使っていることもありましたけど、ほとんど1基しか使ってなかったからね。
最初の頃はKorgのPOLY-6をポリフォニックで使ってトーキングモジュレータをプレイしていました。音量を下げればポリフォニックでも奇麗なんだけど、ライブだと周りが爆音なので必然的に音量を上げることになって、そうすると歪んでハーモニーが汚くなってしまって。久保田さんに、レコーディングではポリフォニックでも良いけど、ライブではハーモニーの表現は無理だからと伝えてモノフォニックでやるようになりましたね。