トークボックスへの興味が芽生えた日については今でもよく覚えている。まだ子供だった頃、車の後部座席に座って、ポータブルCDプレーヤーで2パックの1996年の最高傑作ダブルディスク・アルバム『オール・アイズ・オン・ミー(All Eyez on Me)』の『California Love(remix)(featuring Dr. Dre And Roger Troutman)』を聴いていたね。
それから数年経って、ザップ&ロジャーのグレイテスト・ヒッツをiPhoneにダウンロードして改めて聴いてみたんだ。そうしたら、『More Bounce To The Ounce』を初めて聴いたときの感動を思い出し、子供の頃よりもずっと強く夢中になってしまったのさ。クローゼットからBansheeを探し出し、演奏方法をマスターしなければと自分に言い聞かせて、半年間毎日練習したね。
現在は、Yamaha DX100とビンテージのGolden Throat II、GF WORKSチューブホルダー、アンプにCrate Power Blockを使用している。この構成を選んだのは、クラシックなシステムのひとつだから。アルバムのボーカルはすべて、Neumann TLM49を通したこのシステムでレコーディングしているよ。アルバムでは一貫したサウンドでレコーディングするために、このクラシックなシステムだけでプレイしたけど、最近Prophet 6を手に入れたばかりだから、これでトークボックスをプレイするのもとても楽しい。アルバム制作が終わったから、別のセットアップもトライしてみたいし、またいろいろと実験してみるタイミングかもね!
トークボックス・システム:
キーボード:DX100
トークボックス:Golden Throat II、GF WORKSチューブホルダー
パワーアンプ:Crate Power Block
サウンド・メイキング
DX100でシンプルなノコギリ波を使用して、エンベロープ・ジェネレーターで非常に急なアタックとリリースにしている。サウンドが堅すぎる場合には、Crate Power BlockのEQで調整したりね。DX100での音色プログラミングは少し難しいかな。フィルターがないから、サウンドのシェイピングを行うカットオフもない。全てをFM合成で行わなければならず、思った以上に難しくて時間もかかるね。
アルバム『The 90s EP』をリリースしたばかりさ。90年代のポップ・チューン6作品のコレクションで、ブリトニー・スピアーズの『ベイビー・ワン・モア・タイム(Baby One More Time)』、バックストリート・ボーイズの『アイ・ウォント・イット・ザット・ウェイ(I Want It That Way)』、映画『タイタニック』のテーマ曲『マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン(My Heart Will Go On)』などを収録している。このアルバムのコンセプトは、自分が子供の頃にヒットし、誰もがバブルガム・ポップ・ソングだと思っていた(にもかかわらず大ヒットした)曲を取り上げ、複雑なジャズっぽいハーモニーと現代の制作技法を組み合わせ、新たな光を当てた作品だね。