トークボックス・ストーリー
不思議なことだけど11〜12歳位の頃からシンセサイザーやボコーダーにすごく興味を持っていた。11歳の時にラジオから流れるファンク・ミュージックを初めて聴いた時に人生が変わったね。一番衝撃を受けたのがボコーダー。ほとんどの人がそうだったように自分もZAPPの音楽が一番好きで、当然ボコーダーだと思っていたけど、何か違う気もしていた。当時はインターネットも無ければ音楽に特化したテレビや雑誌も少なかったから、アルバムの「Zapp V」を買うまで待たなければならなかったね。このアルバムの「I Play the Talkbox」を聴いて、初めてトークボックスの存在を知ったけど、その姿形、どの様に演奏されていたのかは分からなかった。90年代半ばにインターネットで初めてトークボックスがどんな楽器かを知り、記念すべき初トークボックスは1997年に購入したJim Dunlop Heil Sound HT-1だった。

1990年から音楽を作っていて、キーボードやサンプラーを持っていたし、トークボックスの音を沢山聞いていた。だからトークボックスが届く前に、サンプラーでノコギリ波のシンセパッチを完成させていたね。届いた日は音楽人生の中でも指折りの喜びの瞬間だったよ!すぐに音楽制作に取りかかって制作したのが「Keep It All Nite」。もちろん最初はうまくいかなかったけれど、このトラックは今でも特別な意味を持っている。なぜかその後トークボックスをしなかった期間があったけれど、数年後自分流のトークボックスのスタイルと演奏をしなきゃならない、って突然思ったんだよね。その頃にはHeilでは満足できなくなってしまっていて、カスタムのトークボックスを作った。それから自分のノウハウを他のトークボクサーと共有することのできるフォーラムを作り、最後にはトークボックスの名機であるGolden Throatを手に入れた。
2007年にはZappがパリに来ていて、コンサート後にメンバー全員に会う機会があったんだ。パリにはスタジオでのトークボックスセッションのために来ていたから、自分が使う機材は幸いにも全て持っていたんだ。そんな僕にTerry TroutmanがライブでDX100が壊れてしまったからロンドン公演用に貸して欲しいと頼まれてね、すぐにOKしたよ!;-) 昔からTeddy Rileyの大ファンで最近になってようやく彼のサウンドに近づいてきたけれど、Roger Troutmanは永遠にトークボックスのゴッドであり続けるだろうね。
トークボックス・システムについて
当時のシステムはHeil talkbox、改造したコンボアンプ、サンプラー・パッチまたはAlesis QS-6パッチ、ダイナミック・マイクだった。その後、Monacor KU-516をベースとしたカスタム・トークボックスへアップグレードし、Yamaha DX100を加えたトークボックス・サウンドは更に進化したね。

現在のセットアップは、Electro-Harmonix Golden Throatトークボックス(一度使うとこれ以外は使えない!)、Yamaha DX100もしくはAlesis ION、Crate Power Blockアンプ、MXL V67i コンデンサー・マイクとBehringerチューブ・プリアンプ。Tascam FW-1082のオーディオ・インターフェース経由でCubaseにレコーディングしている。念のため、Roland SVC-350アナログボコーダも所有しているよ!;-)
トークボックスシステム:
- トークボックス:Electro-Harmonix "Golden Throat"
- キーボード:DX100またはAlesis ION
- パワーアンプ:Crate Power Block