Minimoog
1970年に発売され世界で最も有名なシンセサイザーと言えるMoog Music社のMinimoog(ミニモーグ/昔はミニムーグと発音)は、当時の主流だった大型のモジュラー式システムに比べて非常にコンパクトなことから、ライブにも手軽に使用できるシンセサイザーとして12,000台も出荷された名機です。モジュラー式システムは、各モジュールをパッチケーブルで接続することで柔軟な音作りを可能としていましたが、Minimoogは予め内部結線されておりシンセサイザーの三大要素であるオシレータ(VCO)、フィルタ(VCF)、アンプ(VCA)を分かりやすくレイアウトし正にシンセサイザーを定義した製品と言えます。モジュラー式システムに比べてシンプルですが、その音色は極太でシンセリード、SE、シンセベースなどに今も使用され続けています。ZAPPの特徴的なシンセベースは正にMiniMoogの音です。
MinimoogをプレイするRoger Troutman
Roger Troutmanは、70〜80年代にかけてMinimoogでTalkboxをプレイしています。Roger Troutmanの様な太い高音域とエッジの立った低音域を両立させるには正にMinimoogが理想的と言えます。また、数々の名曲のレコーディングにMinimoogが使用されています。Roger TroutmanのMinimoogによるTalkboxのプレイを見るとピッチベンド・ホイールをほとんど使用していないことがよくわかります。これは、Minimoogのピッチベンドの可変幅が広いことと自動的にセンターに戻ってこない構造が要因かと思います。Roger Troutmanのステージでのプレイを見るとわかりますが、ピッチベンドの変わりにオシレータ2のフリケンシーノブを回してピッチの可変を行っています。このことから、オシレータ1は使用していないことがわかります。オシレータ3はモジュレーション用として使用しているため、実際1つのオシレータ(オシレータ2のみ)でプレイしていることがわかります。
アナログシンセサイザーの概念
アナログシンセサイザーは、減算合成方式とも呼ばれ基本的に基音であるオシレータ(VCO)、倍音を削り取るフィルタ(VCF)、音量を制御するアンプ(VCA)で構成されており、音程、音色、音量と言う音の三要素を制御しています。音作りの手順は、オシレータで倍音を含んだ波形を選び、フィルタで不要な倍音を削り(または特定の周波数を強調)、アンプで音量を調整します。
MinimoogのVCO/VCF/VCAセクション
オシレータ(VCO)
波形には、一般的にノコギリ波、三角波、矩形波、パルス波が用意されています。Talkboxには、ノコギリ波またはパルス波が適しています。ノコギリ波はすべての整数倍音を含んだ波形でシンセベースやリード音に適しており、パルス波は奇数倍音のみを含んだ波形でシンセベースやリード音に適しています。因に、+と-の幅の比率が50%では矩形波と呼ばれます。幅の比率を変える(10%〜40%)ことでエッジの立った音にすることも可能です。その他に正弦波や三角波などがありますが、正弦波は倍音を含まない波形で三角波は倍音を多く含まない波形でいずれも非常に透明感がある音ですのでTalkboxには不向きな波形と言えます。
一般的な波形